フランク・ゲーリー展を見て感じたこと

 以前から、建築業界とシステム業界というのは共通点が結構あるな~と考えていました。作る対象物は違えど設計、構築といった仕事の進め方もそうだし、大手ベンダー=ゼネコン、多重請負とかの業界構造もです。で、今ミッドタウンの21-21DESIGNSIGHTでやっているフランク・ゲーリー展に行ってみようと思った訳です。
 正直、その斬新なデザインは賛否両論あるかと思いますが、筆者が驚いたのは、昔は模型を作っては壊してを繰り返して設計していたのが、今ではデザインコンセプトを模型で確認した後はコンピューターで3Dモデリングし、決められた予算範囲内でデザインを妥協することなく最適な資材構成となるようシミュレーションを繰り返して決定しているという事です。それにより、建築資材の数や搬入時期までを決める事で施工時のコストまでも最適化し、複数の施工業者が見積もっても誤差は0.5%とか。スゲエ!と思ってしまいました。ようするに、それを実現できるソフトウェアを開発した人であるということなんです。建築業界はまったく解らないですが、こういうやり方は一般的なのでしょうかね?国立競技場とかこの人に任せればよかったのにと思いますけど。。
 で、建築とシステム開発の違いについて、フランク・ゲーリー展を見た後に筆者が感じた所ですが、建築では、住宅からビルやホールとか構築対象物の規模が解りやすいという事と、建築での施工業者なる位置付けの仕事がシステム開発に存在しているか?という事です。
 システムの規模って、誰が見ても大規模なものもあれば、それ程でもないものってかなりあるように思いますが、その規模の判断が人それぞれな気がします。大抵大手ベンダーに依頼すれば大規模と見なされていませんかね?クリティカルなシステムだって、例えば5種類のデータしか扱わないのであればそれは対した複雑さは無いはずなんです。また、扱うデータ量が膨大だとしても実装されたシステムを多数のサーバに配置するだけなので、インフラ含めアプリもちゃんと設計されていれば開発自体のコストは何も変わりません。
 あと、施工業者という点では、所謂上流下流といった分け方をしている場合、プログラマーは施工業者みたいなものだという考え方を持っている人もいると思いますが、それを当てはめた方がよいケースは極少数でしかないと筆者は考えます。どちらかというとプログラマーは施工業者というより建築資材供給者の位置づけに近いと思いますが、システムでは1つの設計=1つのプログラムみたいなものです。同じものを量産するという概念がありません。すごく似ている機能が多数存在する事もありますが、それを一つまたは最小限にできないなら設計に問題があるはず。であれば、何を作るべきかを把握しているであろう設計者自身がプログラムを書く方が品質が高く、また分業する事によるコミュニケーションコストも最小化できるはずです。
 システム開発に施工業者が存在していないと考えの元では、建築家フランク・ゲーリーにとってのデザイン活動範囲は、システム開発全ての活動範囲と一致しており、構築対象物は違えど、システム開発におけるプログラミングはデザインという活動範囲に含まれているという事になります。施工業者的であるのは多数のサーバで構成された場合におけるインフラ側の仕事だけではないでしょうか?
 筆者の立場では、今は一人か極少数で開発をしているので、これは注文住宅を自身で設計・施工している工務店の大工みたいなものですかね。こういう戸建レベルの規模の開発案件って結構存在しているはずなんですが、欲しているものの実際の規模と受注側が考えているその規模のズレを注文側が感じるとる事を出来るかという所になります。でも、大規模と言われた物を小規模であると主張するのは結構タイヘンなんですよね。発言に対し全てのリスクを引き受ける気合い!がなければ、なかなか言える事では無いかもしれません。別の方法として、一つのシステムを戸建てレベルの集合体と分割することも出来ますけど、構築後の保守フェーズまで考慮するとこちらもタイヘンかなあ。。

カテゴリー: 徒然草   作成者: bokusui パーマリンク

bokusui について

ソフトウェアハウスでのPG・SEから始まり、10年近く勤めた金融系企業の社内SEを数年前にやめ、フリーランス時代を経たのち法人成りしました。システム開発の全工程をこじんまりとやり続けています。